振り返ってみると、「考える」作法について学校教育で習った記憶はない。幼少の頃いつの間にかその力を使い始めたときから、考える能力はずっと自己流で磨いてきたことになる。
しかし、武道や芸術、工芸等において、自己流で取り組んでもなかなか上達しないのと同じように、「考える」こと自体にも作法が必要である。
その昔、武士が帯刀していた時代、剣は最強の武器であった。それ故武士は剣の使い方を道場に通って錬磨し、同時にその剣を使いこなす精神を磨いたのだった。
情報が氾濫する現代において、人生における最強の武器は「考える」力である。思考力は人を逞しくし、人生を豊かにする。但し、技法(テクニック)の前に、作法(マナー)を磨く必要がある。