-2020年11月27日-
日本から眺めていても、今回のアメリカ大統領選は異常である。未だに勝者が確定していないという事実だけではない。両陣営にさまざまな疑惑と陰謀論が渦巻いていること、BLMやQアノンといったさまざまなグループが国を二分して衝突寸前の運動を展開していること、メディアが報道機関という本来の役割を逸脱して政治的なプロパガンダに加担していることなど、あらゆることが異常に見える。
起きている現象に眼を奪われず、メディアの報道を鵜呑みにせず、限りなく事実のみを科学的な目で見ようと努めたときに湧き上がる疑問点を二つ書いてみよう。
第一の疑問は、アメリカの選挙システムの信頼性というか精度に関わるものだ。今回の選挙結果が物語る二つの事実がある。一つは接戦州で両候補が獲得した票の差は僅かであったこと。二つは郵便による投票が少なからぬ混乱の原因となったことである。
接戦州の集計結果次第で、勝者が変わり得ることが近年の常態であるとすれば、選挙・集計システム自体の信頼性と精度を、疑惑を招かないレベルに改善することが唯一の解決策である。世界一のIT/サイバー大国であるアメリカが、なぜ時代遅れの郵便による投票などという手段を取ったのだろうか。
有権者を掌握し管理しているシステムと、投票結果を集計するシステムを一体化して、最強のセキュリティ対策を講じた電子投票を中心とするシステムに刷新するべきだったのではないか。
第二の疑問は、陰謀論に関わるものである。トランプ陣営はバイデン陣営による大規模な不正があったと主張してきたが、未だにそれを証明できていない。証拠がないままでは何時まで経っても「水かけ論争」の域を出ない。集計を幾ら数え直しても人海戦術で行う限り結果は変わらないだろう。
なぜハイテクを使って科学的に立証しようとしないのだろうか?集計マシンのデータが途中でトランプからバイデンに書き換えられたという疑惑が提起されたが、もしそうであるのならそのデータはコンピュータの中に残っている筈である。何故それを解析しないのだろうか?
また、同じ筆跡の投票が多数持ち込まれたという疑惑がある。もしそうであるのなら筆跡鑑定のAIを使って、同じ筆跡のものをコンピュータに判別させ無効とすればいいのではないか?
疑惑を解消する唯一の方法は、データに基づいて科学的に証明することである。そうしない限り陰謀論がくすぶり続ける。それとも科学的な対策を講じることを阻止する力が働いていて、それ自体が陰謀だというのだろうか?